「ビオワイン」すなわち「ビオロジック・ワイン(オーガニックワイン)」は有機農法のブドウで造ったワインのこと。欧州では「ビオロジック」という言葉はワインだけでなく、農作物やそれを加工した農業製品に対して使われ、ビオロジックか否かは、1991年のEU指令で欧州15カ国共通の基準が定められています。このEU指令以外にもビオロジックかどうかを認定する団体が100以上活動しており、世界中の作物に認定証を発行しています。
公的な認証ではフランスの「ABマーク」(有機農産物の公式品質保証マーク)、民間では世界最大の団体であるフランスの「エコセール」、ドイツの「デメター」が有名だ。「ビオディナミ」(英語ではバイオダイナミックス=生体力学)は、法的には「ビオロジック」の一種で、さらに規定が厳しいとされます。
ビオロジックの農業製品は、生産過程で、添加物を許可されていないのですが、ワインの場合は例外とされています。つまり、ブドウがビオロジックで栽培されていれば「ビオロジック・ワイン」、「ビオ・ワイン」と表示できるといえます。それはワインの醸造過程である種の添加物が必とされているからです。これに対して「ヴァン・ナチュール」は自然に造られたワインという意味のフランス語ですが、ビオロジックよりさらに踏み込んだ考え方をしています。日本で「ビオ」と呼ばれているワインも、実はヴァン・ナチュールのことを指している場合が多いのです。
フランス・ローヌ地方のヴァン・ナチュールの先駆的生産者のもとでワイン造りを学び、「ギガル」の元栽培長で現在は日本人初の自然派ワイン「ル・カノン」を造り上げた大岡弘武さんによると、「『ビオロジック』にせよ、『ビオディナミ』にせよ、いくら健全にブドウを育てても、そのブドウからとった果汁に糖分を補ったり、酸化防止剤を多用してワインを造れば、その味わいはヴァン・ナチュールのそれとはかけ離れたものになる」。
ヴァン・ナチュールの造り手たちは、可能な限り自然に育てたブドウに一切添加物を加えずに、天然酵母による自然なワイン造りに励んでいます。もちろん、自然な造りに耐えられるだけのパワーがブドウにあるからこそ、ヴァン・ナチュールができるのですが……。ただ、彼らの中には政府や認証団体の与えてくれる「ビオ・ワイン」という肩書きにこだわらず、あえて認証を取らない者もいます。
「ビオロジック・ワイン」:よく有機栽培や無農薬栽培のワインという表現がされますが、無農薬で葡萄が栽培され、更にファーティイザー(化学的に合成されたサプリメント肥料:化学肥料)を使用しない生産者が醸したワイン、と定義しています。一般的な特徴として彼等の畑は雑草に覆われ、その肥料には羊糞や鶏糞の自然のコンポストが使用されます。
「ビオディナミ・ワイン」:1924年に現在ポーランドに位置する失われた町コーベルヴィッツで行われた、人智学者のルドルフ・シュタイナーの講義内容に準拠した農法を実践した栽培農家による葡萄から醸されたワインを指します。彼等は自分の畑を取り巻く生態系を最も重んじ、又、月の様相や月の公転面における昇降、太陽における地球の公転面の昇降における地球への気圧や引力、潮力の影響をかんがみた農法となります。月と黄道12宮の関係が話題になる為、占星術っぽく映り、ミステリーさがぬぐえないところもあるようですが、それは月や太陽の昇降時点の観測を後ろ側に控える黄道12宮の位置を引用して表記するからであり、微細な引力の関係を突き詰めると実に奥深いものがありそうです。
更に大きな特徴として彼等は「プレパラート」と呼ばれる様々な調合肥料を使用し、それらは堆肥、水晶、イラクサ、ノコギリソウ等々もちろん自然の産物を土中で発酵させたものです。これらをとても微細な量使用しますし、多くのビオロジックの生産者が「彼等のあんな少量の量では畑に何の影響ももたらさないだろう」と批判している一方、最近有機肥料の施し過ぎによる発ガン性物質(硝酸態窒素)の発生が確認されている事実は無視出来ないところとなっています。
※上記の2つのカテゴリーにはべト病対策のボルドー液(硫酸銅溶剤)とうどん粉病対策の硫黄散布のみは認められています。 |
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我々は葡萄を直接話題にしているのではなく、ワインを話題にしています。その際ビオロジックやビオディナミで育てた葡萄が何かしらの手により加工されるわけであり、その加工の失敗によってワインが美味しくなく感じるケースが多々あります。
例えば生態系を重んじるビオディナミにおいて、他国で培養した香りの良い酵母の使用は紛れも無い生態系を重んじる意向とは反していることになります。また、無農薬という手法もまた、土中の酵母をその生態系内で生かしておく事になる反面、先述の培養酵母の使用は正しい目的の見えない手法の選択になる。と言えるでしょう。
ワイン醸造家さん達はもちろん商売でワイン醸造を行っているので、どこまでが許される範囲になるかは自己規範によるものとなるのは当然ですし、ワイン・テイスターの側面からそこの部分を判断させて頂きますと、リュット・レゾネでも素晴らしい醸造形態を取るとても美味しいワイン生産者もいますし、ビオディナミを駆る生産者でも醸造時の亜硫酸添加過多によりあまり感心できないワインを作ってしまったりもしています。
「ワイン」を見る場合、必ず農法の所産である葡萄が加工されている事実をしっかりと捉えて、その醸造にも関心を向けて頂きたく思います。 |
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やんわりとした滋味と純粋な果実味
だしの素を使ったお吸い物を飲み続けた後に、昆布と鰹節でだしをとったお吸い物を飲んでしみじみ感じるおいしさ、あるいは精製塩と人工的なエキスが入ったスープを使ったトマトソースを食べ続けた後に、粗塩とブイヨンを使った無農薬の完熟トマトソースを食べて気づく純粋なエキスのおいしさ。ヴァン・ナチュールのおいしさは、これらに相通じている。 |
色は薄いがエキスは濃い
無理な色素抽出をしないため、色が薄いことが多い(特に赤ワインの場合)。色が濃いワインだけがエキスが濃いと考える人は多い。だが大半の通常のワインと異なり、たとえ色が薄くても、口に含むと驚くほど凝縮されたエキスが感じられるものが多い。 |
濁っていても旨味がある
ヴァン・ナチュールは、ブドウが本来育まれていた自然の恵みを残そうと、濾過機を通さないことが多い。だからワインが濁っていても、品質は悪くはない。むしろヴァン・ナチュールの虜になった人はもやもやの旨味を喜ぶのだ。「ドブロクみたいなワインもエキス分が体にすんなりと吸収される」 |
飲みすぎても頭が痛くならない
科学的に立証されていないが、ヴァン・ナチュールのワインは量を飲んでも、翌日頭が痛くならない。これはワイン通の間では定説だ。実際、フランスでは、頭が痛くならないという理由でヴァン・ナチュールをわざわざ買い求める人もいるらしい。 |
驚くべき自然のパワー
醸造過程で酸化防止剤がほとんど使われていないため、酸化しやすい=もちが悪いと判断されがち。ところが、ヴァン・ナチュール最大の不思議がここに潜んでいる。コルク栓を抜いても冷蔵庫で保管さえすれば、1週間は軽くもつのだ。なかには1カ月以上たってもふくよかさを失わないワインもある。家庭でワインを楽しむわれわれにとって、なんともうれしい話ではないか。「コルクを抜いたらできるだけ早いうちに飲んでしまおうという心配は無用。赤、白1本ずつ、毎晩少しずつ飲めばいい。冷蔵庫にいつも数本ストックするのも楽しい」 |
著:(株)山仁商店 大橋 健一
上記の内容に関してはプレジデント社が発行しております月刊誌「dancyu」 2002年11月号P73〜掲載の記事「世界で人気“ビオ・ワイン”ってナニ?」の内容を一部抜粋しております。
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