| 水なすといえばぬか漬け!想像するだけで湧きあがってくる食欲を押さえながら、雨の中、貝塚の畑へ向かいました。何度か予定はしていたもののなかなか伺えなかったので期待はひとしお、不安と緊張もありました。 |
北野さんは、玉葱や冬場には菊菜等も作っておられますがメインは水なすだということです。
新鮮なものを食べてもらうために、朝早くから収穫したものを午前中に直接八百屋さんやお漬け物屋さんに納入し、その後も、実に傷がつかないように葉をむしったり、温度と湿度管理のために、土を覆っているビニールの調整をし、ハウスの天井を開いたり閉じたり・・1日中、4カ所ほどにあるハウスを行ったり来たりしています。特にこの梅雨の時期は、雨が降れば閉じて、また晴れれば開いて、ちょっと出掛けるのもままならないそうです。旬の時期はGW明けから7月いっぱいなのですが、実際はもっと早い時期から遅くは10月頃まで注文が後を絶たない状態です。 |
|
| そんな話を聞きながらみしって(むしって?)頂いた水なすの表面は手に吸い付いてくるように瑞々しく、ずっしりと重くていかにもおいしそうなものでした。皮が薄い北野さんの水なすは塩の通りもよくお漬け物には最適だそうです。余談ですが、皮が厚くなってしまい表面もぼこぼことなってしまって残念ながら使い物にならないなすの事を「ぼけなす」というとか。大阪府南部では相手をけなしたいとき「ぼけなすーっ」ていいますよね。卵が先か鶏が先か、どちらから発生したコトバかは分かりませんが、拝見したぼけなすはいかにもぼけなすでした・・。もちろん自家消費には充分通用するものです。蒸して皮を剥いて冷やして生姜醤油で食べるのも農家的裏メニューと教えていただきました。 |
北野さんが二十代の二十数年前は水なすを知る人も少なく、生産していたのも北野さんひとりだったというお話。それが近年、泉州水なすという名前が有名になり、宅急便などの輸送手段が発達したのも手伝って、水なすの浅漬けがお中元の人気商品ベスト3にランクインしました。
需要が増えれば供給も・・とうまくいかないのが生鮮食品。でも全国のお客さんとの契約がある以上、農家の都合は考慮されにくいものです。ベストな商品を届けたいのに旬を無視した注文・・etc.来年のために土づくりもしたいのに・・。下手をすれば私たちの方が感情的になってしまいそうな現状にも「でも食べたいという人がいてはったら食べてもらいたいし、ここまで来いとも言われへんしね。」とさらりと言ってのける北野さん夫妻。数々の葛藤を乗り越えてこの気持ちを持つに至ったことだろうと勝手に推測してしまいました。 |
|
| 手を離れてからどのような流通に乗っていくのか、とても気になるし、矛盾を感じていながらも、決して手を抜かず最良のかたちで出荷する。本当のうまさを知っている人だからこそ成し得ることだと思います。終始笑顔で、飾らない、創らない、心からの言葉がぽんぽん湧いてきて、その口調は決して熱くはないのだけれど、熱い思いが伝わってくるのを感じました。
|
| 帰り路、北野さんのことを思い返しながら高速を走っていると突然の集中豪雨。考えてみると往路復路は雨雨雨だったのに取材中は不思議なことに小雨になっていて。なんともこの会の運の強さを感じた次第です。 |